この空の下
本殿から少し離れると、大きな参道脇に出店がずらりと並んでいた。


「凄ーい」

「本当に初めてなんだな」

私の反応に、隆哉の声のトーンが少し落ちた。



「父はいなかったし、母もほとんど病院で、ずっと祖父母に育てられたから。苦労をしたつもりはないけれど、どこに連れて行ってもらったことも、遊んでもらったこともないわ」

決して不幸だったって言うつもりはないけれど、普通の家庭って物を知らずに育ったとは思う。


「へえー。まあ、俺も変わらないけれどね。父親は忙しい人だったし、母親はもっと忙しい人だから、いつも1人だったな。時々旅行に連れて行ってもらってはいたけれど、普段一緒に入れない罪滅ぼしをされてる感じでイヤだった」

「ふーん」

みんなそれぞれ苦労があるのね。
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