君を待った七年間〜一匹の犬の物語〜
僕には、名前がない。それは僕だけじゃなくてみんなもだけど……。

ガラスの向こうでは、たくさんの人が足を止めて僕らを見つめている。その目はとても優しくて、僕は嬉しくなるんだ。

ここはペットショップというところらしい。僕たちは、新しい家族を探しているんだ。

「わあ〜!ゴールデンレトリバーだって!すっごくかわいい〜!!」

水玉のワンピースを着たお姉さんが僕の目の前で立ち止まる。僕は喜んで尻尾を振り、この人が家族になってくれるのかなと期待した。

みんな立ち止まってはくれるけど、僕を家族にはしてくれない。それが少し寂しかった。周りの子たちは新しい家族を見つけたのに、僕にはまだいないから。

「結構でかくね?三月三日生まれ?……ってことは今五ヶ月じゃん!かわいいけどでかいから無理だって〜」

ちょっと怖そうな顔のお兄さんが、僕とお姉さんを交互に見る。

「そうだよね〜……。うちのマンション、小型犬しか無理だもんなぁ〜」

お姉さんが残念そうに僕を見る。ああ、この人も僕を家族にしてくれないんだ……。
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