【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 そして今、柊吾さんの専用車でオーリィ家に向かっている。

 ランチにお呼ばれということもあり、先日柊吾さんに買ってもらったマスタード色のワンピースとブラウンのカシミアのカーディガンを着ている。

 柊吾さんはチャコールグレイのスーツ姿。

 私の左手の薬指にはマリッジリングと共にエンゲージリングがはめられている。

 エンゲージリングをはめるのは一週間ぶり。

 オーリィ家に向かう前に、パリで人気のショコラと、色とりどりのバラを主にした花束を買った。その他にも私が日本から用意したお菓子がある。中でも抹茶のお菓子は、梨沙が懐かしいと喜んでくれるはずだ。

 マレ地区に入り、歴史建造物が多くなる。

 数分後、車は石造りの五階建てのアパルトマンの前に停まった。

「素敵な趣のある建物だ。かなり古いだろう?」

 車から降りた柊吾さんは、こじんまりとしたアパルトマンの外観を見て満足げに頷く。

「もとは貴族の持ち主だったとか」

 柊吾さんが住んでいるアパルトマンとは規模が違うけど、負けず劣らず美しく歴史を感じる芸術的な建物だ。

「こっちです」

 車が静かに去っていくのを見送ってから、柊吾さんを入口に案内する。

 インターホンを鳴らして、廊下のその先へ進む。

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