【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 ムキになって頬を膨らませる。ぷくっと膨らんだ頬の片方が長い指でつっつかれる。

「かわいいな。もっと俺が欲しいとねだって」

 後頭部に手のひらを回して引き寄せられ、唇に甘く口づけられたあと、私はシーツに再び押し倒された。


 翌朝、目を覚ました私は柊吾さんの腕にがっちり抱かれていた。

 たっぷり愛された身体は気だるい。でも心は幸せに満たされたように弾んでいる。

 今何時だろう……。

 ダークブルーのカーテンの隙間から明るい日差しが見える。

 お腹がきゅるんと不満を漏らす。

 柊吾さんが眠っている間に、新妻らしく朝食を作ろう。睡眠不足の柊吾さんにはまだ眠ってもらいたい。

 彼の腕から離れようと慎重に動き、上体を起こしたところで、グイッと引き戻される。

「きゃっ!」
「俺の腕からこっそり抜け出してどこへ行く?」

 楽しそうな声が聞こえてきた。

「柊吾さんっ、朝食を作ろうと……」
「天気がよさそうだ。外に食べに行こう。それともずっとここにいる?」
「外で食べたい」

 カフェのテラス席で行き交う人々を眺めながらの食事も、パリ生活の醍(だい)醐味(ごみ)だと思う。

「シャワーを浴びよう」

 私の鼻にチュッとキスを落とした柊吾さんは身体を起こす。それから私を抱き上げて、バスルームへ連れていった。

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