【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
《元気よ。お父さんと話をしたんじゃないの? パリは真夜中でしょう?》

「うん。三時を回ったところだけど、お父さんの電話が気になって眠れなくて。大事な話って、お母さん知ってる?」

 一瞬間があいてから、お母さんは《知らないのよ》と言う。

 本当に知らないの……?

《金曜日のフライトがわかったらメールしてね。お母さん楽しみだわ。心春の好きな料理を作るからね。じゃあ、忙しいから切るわね》

 四月に渡仏してから、日本には一度も帰っていない。お母さんは喜びを隠せない声で言って、電話を切った。

 健康面は大丈夫そう……じゃあなんの話なんだろう……?

 まだ不安で落ち着かなかったけれど、母が元気そうで安堵した。

 今夜はもう寝なきゃ。寝坊しちゃいそう。

 スマホの目覚まし時計のセットを確認して目を閉じた。


 なんとか七時に起きた私は学校へ行く支度を済ませて、ダイニングキッチンへ行った。

 梨沙は目玉焼きとベーコンを焼いている。

「おはようございます」
「あ、ハル、おはよう。あら? よく眠れなかったの? 疲れた顔をしているみたい」

 梨沙に疲れた顔と言われて、私は手を顔に持っていく。


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