【極上旦那様シリーズ】俺のそばにいろよ~御曹司と溺甘な政略結婚~
 田口さんの運転する車は、港区にある一軒家の自宅へ十七時前に到着した。

「ありがとうございました」

 トランクからスーツケースを出してくれた田口さんにお礼を言ったとき、玄関からお母さんが出てきた。

「田口さん、お迎えご苦労さま」

 お母さんに頭を下げた田口さんは車へ戻っていく。

「心春、お帰りなさい。さあ、入って」

 玄関を入り、懐かしい我が家のにおいに、帰ってきたんだと実感する。

 この家は私が五歳のときに建てたもので築十三年。6LDKの間取りで、三十畳のリビングには世界の名画が飾られ、家具はすべてイタリア製。

 人を招く機会も多いので、お母さんはいつも綺麗に整えている。

 私は手洗いとうがいを済ませてから、リビングのソファに腰を下ろした。

「お父さんは何時に帰ってくるの?」

 奥のキッチンにいるお母さんに尋ねてみる。

 早く話を聞きたい。そうしないと落ち着かないから。

「十八時半に戻るって。オレンジジュースでいい?」
「うん」

 リビングのエアコンは入っていなく、窓が開いている。やはり湿度が高くて蒸し暑い。

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