今世こそは君を守るから、だから俺の傍にいて
プロローグ


初めて人を殺したのは、 15歳のときだった。

「よくやった!!」

そう言って嬉しそうな顔で、相手の返り血で血だらけになりながら俺の肩を叩いた上司を見て、この世界はなんて腐っているんだろうと思った。

上機嫌な上司に連れられ入ったところは王宮。そうか、俺達は宮廷騎士。そりゃあ戦いの結果を報告に来るのは当然だろう。

どうせ王族もこの世界も何もかも、ぶっ壊したいほどにイかれているに決まっている。



そう勝手に思いながら入った広間で初めて王族を見た。

王に妃に姫。

その中でも特に姫に目を奪われた。

とても綺麗だった。


膝を着いた俺たちの方へと向かってきて、俺の前で足を止める。それだけでも驚いたのに、彼女はそれから俺の頬にある傷を撫でて言った。


「痛かったよね、守ってくれてありがとう。」


同年代の姫。ハルガ・ブライアース。


顔を上げた時に目が合って、そっと労わるように笑ってくれた君を見て俺は決めた。

君を守れるのならどんなに手を汚しても構わない。


きっと彼女も綺麗なものだけを見て育った訳では無いから。それでも、俺とは違って綺麗に生きているから。

この人の為ならば俺も、綺麗になれる気がしたから。





たとえ、どんな手を使っても…………



俺は君を守る。



それが、俺、イツシが決めた誓い。
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