私を繋ぐ優しい手錠



彼女は話しながらずっと悲しそうな表情をしていた。けれど、1度も涙を見せなかった。

「来栖さんはさ、そのままでいいの?」
「……何が?」
「妹さんと仲直りしたいんじゃないの?」

独り言を終えた来栖さんはゆっくりとこちらと目を合わせる。
聞かないことにするって言ってたのに、つい聞いてしまった。自分の悪い癖だから治したい。いや、もう治らないか。全部。


「別に。妹がそれを望んでないと思うから」
「妹が、じゃなくて来栖さんがどうしたいかだと思うよ、俺は」

何を偉そうな事言っているのだろう、俺は。
全部手遅れにして離れていくことをただ見ていただけの俺が。
昔の俺がいたら今の自分を笑っているだろう。
そんなこと言える立場なんかないだろ?って。


「そう、だね。だけど、もういいや。疲れた」


そう言って口元だけ綻ばせる。
目はとても悲しそうで、瞳は大切な人を思っていて。


雨が降り出した。
彼女の代わりに泣き出したような。
彼女の未練を洗い流すような。
そして、俺の過去を再び奏でるような。


そんな、雨が俺たちを世界から隔離した。
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