エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

私が勤める会社には、計画年休制度がある。
有給の消化率があまりに低いため、年度初めに六日ほど有休をとる日を提出し、その日は絶対に休まなければならない制度だ。

『俺、去年の計画年休全っ部雨だったんだけど』と谷川くんが愚痴っていたけれど、天気予報も予定もなにもわからない年度初めに有休を決めるのだから、そういうことも普通にある。

私は、土日にくっつけて三連休にするよりは、水木あたりに休めたほうが気が楽だから、隔月で適当に指定している。

周りの友達もみんな社会人だし、平日に予定を合わせるのは難しい。
その上、結構、直前まで指定した有休を忘れていることが多いため、予定も入れられずひとりぼんやり消化してしまうことがほとんどだ。

「来年は五月と十一月あたりに入れようかなぁ」

エアコンのフィルターを外しながら独り言をこぼす。

部屋のありとあらゆる窓を網戸にしてあるのに、室内温度は三十四度を超えていた。簡単な掃除しかしていないのに汗だくだ。

ついつい先延ばしにしてしまっていたフィルター掃除を思い立って始めたはいいけれど、これは真夏にする作業じゃなかった。
エアコンを使い始めるひと月前くらいに済ませておくべきだった。

しかも、朝ダラダラ過ごしてしまったせいで時計は暑さのピークと言われる十四時を指している。
きっとこれ以上最悪なタイミングはない。


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