独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 クリスマスイブだというのに、ロマンチックとは程遠い会話をしながら、食材をカゴに入れていく。

「ケーキはパティスリーで買ったらいいよね」
「いや、俺が作る」

 蓮斗がきっぱりと言い、詩穂は驚いて足を止めた。

「ええっ、それって食べられるの?」
「失礼なやつだな」

 蓮斗が詩穂の額を軽く小突いた。どこかでしたような会話だと思いながら、詩穂は小さく舌を出す。

「俺だって、たまには詩穂にうまいものを作って食べさせてやりたいって思うんだよ。いつもおまえが作ってくれて……感謝してる」

 最後の一言は口の中でもごもごと言った。

「え、なに? 聞こえな~い」

 詩穂はわざとらしく片手を耳に当てた。

「二度と言わない」

 蓮斗が拗ねたように言って先に歩き出した。詩穂は慌てて彼に追いつき、彼の左腕に腕を絡める。

「私は……蓮斗がそばにいてくれて感謝してる」

 小さな声で言ったら、蓮斗が足を止めた。そうして頬の辺りを染めながら詩穂を見る。

「それは俺も一緒だ」

 そうして詩穂の額に自分の額をコツンと当てた。
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