Starry Night Magic
~After the Magic~

自分が飛行機に乗る以外で空港を訪れたのは、何気にこれが初めてだと気が付いた。


スマホで時間を確認する。

そろそろ着陸する頃だろうか。やっぱり早く着きすぎてしまった。



飛行機の到着時間は事前に聞いていて、でも結局きっと入国審査やらで時間がかかるだろうから、到着時間の30分後くらいに空港に着ければ充分だと思っていた。

けれど結局家にいてもそわそわして、居ても立っても居られなくなって出て来てしまったのだ。



それに、自分が到着ゲートから出た時に誰かが待っていてくれると嬉しいのは、私がよく知っている。




そもそも仕事がまだ全然忙しいこの時期に丸1日休みがもらえたのは、お調子者で粋な同僚たちの計らいがあったからだ。


ダメ元で1ヶ月ほど前に今日を休みにしてもらえないかと上司に掛け合ってみたところ、休み取りたいという私が珍しかったらしく、同僚中興味津々で理由を問い詰められる羽目にあった。



良くも悪くも職業柄想像力が豊かな同僚たちは散々みんなで憶測を飛ばしあっていたが、私は逐一ちゃんと否定していた。


でも誰かに「日本にいるフィアンセが会いにきてくれるとか?」と完璧な事実を言われると、昔から嘘をつくのが苦手な私は上手く誤魔化すことは出来なかったのだ。



それまで全く男っ気の無かった私は、同僚からいつもそのことをネタにされていた。

ずっと彼氏がいないなんて不健康だとか、もしかしてそっちのクチなのか?とか。


散々な言われようだったけれど、日本にずっと片想いしている人がいる、ということは恥ずかしくて言えなかった。
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