私が恋を知る頃に
「そっか、そっか。それで、自分を傷付けたくなっちゃったんだね。」

こくん

すすり泣く穂海の背中を撫でながら園田先生はそう言った。

今日の穂海は、面談前笑っていた。

不安そうな笑顔ではあったけど、前の時の怯えたような顔ではなくて

話が始まってからも、少し辛そうな顔や涙を見せる場面もあったけど、前回みたいに取り乱して泣いてしまうことはなくて、少し安心した。

「じゃあさ、今はその気持ちどうなってるかな?まだ、辛い気持ち残ってる?」

そう聞かれた穂海は少し言いづらそうにしながらもぽつりぽつりと言葉をこぼしていく。

「不安は、正直…まだ あります……。でも、今は……少しだけ、………前よりは…気持ちが、楽…?……です。」

楽 穂海の口から意外な言葉が聞けた。

そっか、この前のお友達のお陰かな。

気持ちが前向きになってるから、さっきの笑顔も見えたのかも。

「そっか、それはよかった。」

園田先生も安心したような笑顔だ。

それから、少し穂海の様子を伺ってから園田先生は優しい面持ちのまま口を開いた。

「じゃあ、今度はこれからの話をしよう。」
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