はっぴぃday
叔父の店から三駅電車に乗った駅前に、サライはある。

トルコ料理のお店、サライで金曜日と土曜の夜に私ばMOMO "と一緒にステージにたつ。

「おはようございます。
今日も宜しくお願いします」

裏口から入り、キッチンで仕込みをしているオーナーシェフに声をかける。

小さな四畳半程の控え室にはいると、すでに来ていたモモはサンドイッチを頬張っていた。

「おはようモモ。
今日も宜しくね」

荷物を置いてモモの正面の椅子に腰かけると、モモは紙袋からサンドイッチを取り出して私に差し出した。

「おはようサクラ。
どうぞ。」

「ありがとう」

「で?今日もご機嫌そうだねサクラ。」

私はモグモグしながらにっと笑う。

「もちろん!今日もはっぴぃdayだよ!」

右手でモモにピースをする。

「さぁ今日も最高のステージにするよ!」
「もちろん!」

私たちは、今夜もシルクのベールを華麗に翻し、妖艶に舞って観客を魅了する。

MOMO とSAKURA 。

名前のごとく、それぞれ腰から脇腹にかけて桃の花と桜の花のタトゥーを施したベリーダンサー。

今宵も私たちは、派手なメイクに大胆な衣装を身に付けて、大切な人だけを想いながら踊り続ける。

また再び、大切な人と巡り会えることを夜空の星に願いながら…。
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