成瀬くんなんて大嫌い。

こ、声裏返った。


魔女役の子わらってるし笑ってるし…


｢せ、瀬戸川さんっ、そんな緊張しなくて大丈夫だよ笑｣


監督がさりげなくフォローしてくれた。


やっぱり劇向いてないよ〜


そして、ついにラストシーンの練習。


王子様｢白雪姫、白雪姫！どうか、私の口付けで目を覚ましてください。｣


目を閉じていると成瀬くんの優しい声が聞こえる。


だんだん近ずいてくる成瀬くん。


そして、愛の口付けを交わして白雪姫は目を覚ます…はずなんだけど


｢セリフ…ぶっ飛んだ…｣


ああぁ、私ほんとだめだ…


｢みんな、ごめんほんとに。｣


みんなは大丈夫だよって言ってくれるけど、迷惑に決まってる。


今日の練習はとりあえず終わって、解散した。


劇が向いていないことを痛いくらいに感じて落ち込む私。


｢瀬戸川ちゃん、そんなに落ち込むことないよ。｣


なんでさぁ成瀬くんは私がもうダメだって思う時に限って助けてくれるの。


｢瀬戸川ちゃんは女優でもなんでもないんだから。べつに下手でも大丈夫だよ？｣


しかも、優しいこと言ってくれちゃってさ。


｢だから、そんなに思いつめないで？ゆっくり一緒にうまくなればいいじゃん？｣