訳あり無表情少女と一途な幼馴染
トボトボと歩いてると目の前にドアに背凭れ、私を見る女…理子

『アンタ、まだあの坊やに会いたいと思ってるでしょ?』

私が返事しなくても、この女はペラペラと喋る

『アンタが、坊やに会えると思ってる?今のアンタが』
『…』
『ここに戻ってきてから、どれだけの人間を殺してきたと思ってるの?
私が感情を消してあげたお蔭で、何の躊躇も無く殺してるアンタが
手や顔、体に付いた返り血を見ても、何も思わないでしょ?
後悔も…罪悪感も
そういえば坊や、アンタの過去を聞いたら目を合わせなかったわね』
『…っ』
『最後の挨拶に何話してたか知らないけど。
坊やはアンタを受け入れてくれるのかしらね?
アンタみたいな…殺戮人形を』

そうだ
私は、穢れてる
こんな私が蓮の側になんて…いちゃいけない、望んでじゃいけないんだ
もう…誰の側にも

ーー鎖が解け、自由になりかけた鳥
手を差し伸べてくれる皆の元へ行き
共に羽ばたこうとした瞬間、恐れていた闇に再び囚われた
鳥は自由を捨て、皆が闇に囚われない様に
自ら闇へと堕ちていったーー
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