俺様上司が甘すぎるケモノに豹変!?~愛の巣から抜け出せません~
 
「そういえばお前、最近あんまアレやってないな。石にひなたぼっこさせるやつ」

周防さんと暮らし始めてもうすぐ一ヶ月が経とうかという、ある朝。

彼は手慣れた様子でネクタイを絞めながら、リビングで正座してテレビの朝占いを待つ私に向かって言った。

「ひなたぼっこじゃありませんてっば。月光浴です」と訂正しながら、私は彼の方に向き直って言う。

「スピリチュアルに頼りすぎるのはやめようと思ったんです。私、いつも大事な場面でスピリチュアルに頼ってたから。だから、これからはもっと自分の力を信じて、願いは自分の力でかなえようって。そうじゃなきゃ願いがかなったって後で虚しくなるなって、気づいたんです」

私がそんなふうに考えるようになったのはもちろん、周防さんへの恋心を自覚してからだ。

いつか惚れ薬の効果がなくなったとき、今度こそ私は自分の力で彼に好きになってもらいたい。そうじゃなければどんなに愛されても悲しくなるだけだと知ったのだから。

周防さんは数回瞬きを繰り返すと「へえ。なんか成長したじゃん?」と微笑んで、私の頭を軽くポンポンと撫でた。

ちょっと褒められただけなのに、私は嬉しくて顔が勝手にニヤけてしまう。

すると周防さんはおかしそうに肩を竦めながら「でも、占い見るのはやめないんだな」と、ククッと小さく笑った。

「こ、これはなんていうか、もう習慣ですから」

痛いところを突かれしどろもどろになりながら返すと、彼はおかしそうに笑いながら「お。うお座は恋愛運最高だってさ、よかったな」とテレビを指さして私の頬にひとつキスを落とした。
 
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