キレる
ミルルの家に着くと、ミルルの父親であるヤンダルの顔も思い切り腫れていた。
「やい。クソ親父。パクに、パクにあやまれっ。」
ミルルは、キレていた。こんなにキレているミルルを、パクははじめてみた。ただ、キレている理由がわからない。
―――いったい、何があったんだろう・・・。
顔が腫れ、何かを言うのもつらかったので、ただ、ふたりのやりとりを傍観していた。すると、ヤンダルがパクの目の前で土下座した。
「パク、すまん。さぁ、殴ってくれ。ミルルが俺にしたように、思い切り殴ってくれ。」
そう言われても、殴る理由が見つからない。それに、母親がいなくなった悲しみが先行している今は、それ以外の事はどうでもよかった。
「パク、遠慮するな。こんな最低親父、ぶん殴られても当然なんだ。さぁ、思い切りぶん殴れ。」
意味がわからない。しかたなく、口を開いた。痛みがとてもつらかった。
< 39 / 79 >

この作品をシェア

pagetop