「パク。」
いつしか、朝になると声をかけるのが日課になっていた。しかし、いつも反応はない。この日も反応はなかった。
「今日も、目を覚ましてはくれないのね。」
ため息をついた。ロドの声は、とても哀しそうだ。それを見守っているテミロの目も、哀しそうだった。
「パク。」
何度も、何度も、声をかけた。すると、パクの瞼がゆっくりと開いた。白い壁がまぶしいのだろう、はっきりと開く事は出来なかった。それでも、ロドの、テミロの気配は感じられた。
そして、ミルルを捜した。
「ミ、ミルル・・・。」
ロドは、少し悔しかった。それでも、意識を取り戻してくれた事に、涙を流して喜ばすにはいられなかった。
「パク・・・。」
ミルルも、パクに誘われるように目を覚ました。
ふたりは手を握り、何かを確かめているようだった。
< 68 / 79 >

この作品をシェア

pagetop