拾いものは危険な恋のはじまりでした
奏さんが、こんなに精力の強い人だとは思ってもいなかったので、今後の

生活に一抹の不安が過ったのは秘密だ。

「支度をしたら、食べにいくぞ」「は、はい」

よろよろしながら、支度を整えた。部屋には、奏さんが用意したのか、

黒のレースの下着と黒のワンピースが置かれていた。

奏さんは、黒のスーツで私の黒のワンピースと並ぶとお揃いのようで、

気恥ずかしい。



ホテル内のレストランで遅めの朝食をとる

「小春、ここを出たらこのまま実家に行く。親に会って欲しい。

小春をちゃんと紹介したいんだ。」

「こ、これからですか・・・」

奏さんの親ということは、桐生組の組長さんなんだよね。

私みたいな人間は、反対されるんじゃないだろうか・・・。

不安が顔に出ていたのか「大丈夫だ、俺が選んだ女だ反対しない」

奏さんはそう言うが、不安は拭えなかった。

挨拶に行く緊張からか、途中からは美味しいはずの朝食も味を感じず

残してしまったのは、申し訳なかった


ホテルには、司さんが迎えにきて荷物をもってくれた。

「ゆっくりできた?」「あ、まぁ」

苦笑いのまま、曖昧な返事を返すが、左手のリングを見て

「上手くいったみたいだね」と喜んでくれた

車に乗ると緊張が押し寄せてきて、無言になってしまう

「小春、本当に大丈夫だから、俺を信じろ」

そういってくれるが、ひきつった笑みだけが浮かんでしまっていた。

ホテルから30分ほどで、実家に着いたようだった
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