転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
 ラファエラ妃も、ジャニス妃に合わせるように適度に話題を振ってくれる。会談は、気づまりするようなことはなく無事に終わった。

 バロー宮の入り口まで戻ると、肩から重荷をおろせたような気がした。

「……リヒャルト様、一緒に来てくださったのは嬉しかったんですけど、お忙しかったんじゃ?」

「ジャニス妃とラファエラ妃の二人に、ヴィオラ一人で対抗できるとは思えなかったし、俺が心配だったんだ」

「それはありますね。リヒャルト様がいなかったら、何を話したらいいかわからなかったかも。来てくださって、ありがとうございます」

 くすりと笑うと、リヒャルトも小さく笑う。入り口のところには馬車が待っていたけれど、彼は御者に何事か命じた。

「どうして、馬車を行かせたのですか?」

「今日は、雪もないから、少し歩こう」

「それもいいですね!」

 たしかに雪がちらつくことが多かったから、最近外に出ることは少なかった。外を歩いたら、今の会談の重苦しさを吹き飛ばすことができるかもしれない。

 リヒャルトに並んで歩くのは気持ちがいい。リヒャルトは、ヴィオラのペースにちゃんと合わせてくれる。
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