転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ ~次期皇帝と婚約なんて聞いてません!~
「今日のパイは何かしら?」

「白あんとマロンクリームのパイです!」

 皇妃とのお茶会には、毎回何種類かのお菓子が用意される。

日によって何が出されるか変わるけれど、今日は、甘さ控えめの白あんの上にマロンクリームを絞ったものを、パイ生地で包んで焼いてみた。

 最近白あんの材料も手に入るようになったので、初めて作ったものだが、厨房でも好評だったからきっと皇妃も気に入ってくれるはずだ。

「あ、あとアップルパイもあります。今、焼きたてをニイファが持ってきてくれるので、バニラ風味のアイスクリームを乗せていただきましょう」

「それはとても楽しみね。あら、リヒャルト、遅かったのね」

「前の予定が長引いたので……間に合ってよかったです、母上」

 サンルームに入ってきたリヒャルトは、せっせとお茶の用意をしているヴィオラに向かって、優しいまなざしを向けてくれる。

「リヒャルト様には、ミートパイも用意していますよ」

 ヴィオラと皇妃とは甘いものを好むが、リヒャルトは甘いものはあまり得意ではない。

そのため、リヒャルトが皇妃とお茶の時間を過ごす時には、甘いお菓子だけではなく、塩気の効いたお菓子や、軽食も用意される。

「せっかくだから、白あんとマロンクリームのパイもいただこう」

「はい、リヒャルト様」
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