銀のナイフと薬を手にして
「そんなこと言われたら、さらうよ」
傘を片手で閉じる事ができなくて苦戦した。
タクシーの後部座席で寄りかかった中岡さんの肩は、想像していたよりは厚みがあった。やっぱり男の人なんだな、と実感する。
暗い車内に、流れていくヘッドライトの光が何度も差した。どこか遠い旅をしているようだった。
「旅先の、知らない場所にいるみたい」
と呟いたら、中岡さんが宙を見上げて
「旅行しようか」
と切り出した。
「一緒に行けるうちに、行けるところにたくさん行って。綺麗な景色を見て、美味しいもの食って」
「行きたい」
と答えてから、行きたい、は、生きたいと同じイントネーションだということに気付いた。

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