すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~
あまり本来の職務の妨げになってはいけないと、出来るだけ一人での不要不急の外出は避け、仕事が終わった後と智大のいない休日は家にいることにした。

前回のストーカーからの電話がトラウマとなり、一人の間スマホの電源は切って、たまに鳴るインターホンにも怯える日々が何週間も続いたが、封筒は吉嶺達が来たその日から来なくなったし、警護してくれるようになってから視線も感じなくなった。

もしかしたら藍里が警察に相談したのが分かって付き纒いを諦めてくれたのかもしれない。
そう思いながら藍里は晩ご飯の支度をしていたが、ふとした時に吉嶺が話していた吊り橋効果の事を思い出してしまい、手が止まってしまうことが多くなった。

「勘違い……なのかな……」

男性恐怖症の原因となった智大に恋をしたのは、吊り橋効果による勘違いなのか。
もしそうなら、いつかまた智大の事を怖く感じて息が詰まる生活に戻ってしまうのか。
考えても仕方ないことをぼんやり考えていると、突然後ろから抱きしめられて藍里は小さく驚きの声を上げた。

「きゃ……っ!」

「こんな所でぼんやりするな」

危ない。と今日は早めに帰ってきたらしい智大が背後から藍里の米神辺りに口付けると、藍里はドキドキしながら振り向いた。

「お、お帰り……早かったね」

「まあ、たまにはな。それより上の空だったようだがどうした?疲れてるなら休めばいい」

「ううん、大丈夫……ひゃっ!」

有無を言わさぬように智大は藍里を抱き上げると、キッチンからリビングに向かった。
智大はそのままソファに座り太股の上に藍里を乗せたので、藍里は必然的に智大の上に跨がる格好となった。

「と、智君……これ、ちょっと恥ずかしい……。それに重いから……」

「重くない。軽い。ちゃんと食べてるよな?」

正面から腰を抱かれ、右手で頬に触れられると藍里は頬を染めて何度も頷いた。
ならいい。と智大が愛しそうに微笑むものだから藍里はドキッと心臓を高鳴らせると、おずおずと智大に凭れるように体を密着させた。
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