生簀の恋は青い空を知っているか。

そんな不純な動機で結婚をしたがったわたしを、神様はみているかもしれない。

それでも良いとすら思っていた。

これからどんな罰が当たっても、わたしは今この状況から動きたかった。

選ばれる方から、選ぶ方へ。

「思いません」

手が触れた。暖かい手だった。

「交渉成立だ」

まるでひとつの商談が成立したみたいに、浅黄さんは言った。
多大なる借金と平々凡々な面で大して若くもない女を一人請け負うことになったというのに。

「お、虹出てる」

立ち上がった浅黄さんが障子を開けて言う。眩しさから目を細めていて、光の当たった髪の毛が綺麗だった。

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