生簀の恋は青い空を知っているか。
兄の話が浅黄さんから出るとは思わず、どきりとする。
絶対に顔にでないように努めながら、顔を見上げた。
「兄のことも知ってるんですね」
「柴舟で唯一挨拶できてない人間だから」
「なるほど」
「今、どこにいるんだ」
浅黄さんはどうしてこうも、人を震わせるのだろう。
「……浅黄さんが言ったんじゃないですか。オーストラリアに」
「居場所が全然掴めない」
「そんな、調べたみたいに……」
ふと目を瞬かせる。調べるって。
「身辺調査ですか?」
初めて浅黄さんが黙った。それは肯定を意味している。