Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「それ、ナオの指示?」


自然を装うため、冷蔵庫からジュースを取り出してマグカップに注ぎながら聞く。


コポコポコポ…とオレンジ色の液体がマグカップを満たしていく。


「そ。俺らだってただやられて終わるわけにはいかないし。宣戦布告の意味を込めて」


…ナオが沙耶を…。


実行犯は別だったとしても、気持ちは複雑だ。


あたしにとってはナオも沙耶も大切。


大切な人が大切な人を傷つけていた。


「…でもさ、もしかしたら死んでたかもしれないんだよ?そうなったらナオは人殺しじゃん…」


カタン…とナオの前にオレンジジュースを置き、隣に座る。


近いはずの距離が遠く感じる。


「今さら人殺しとか関係ない。仮に死んだとしても安藤さんがどうにかしてくれるだろーし」
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