Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
宮瀬は自分が居た痕跡を慣れた手つきで消し去り扉を開けた。


朝、あたしを慰めてくれた人と同一人物なんだろうか。


怖い。


あたしもあんな風になる。


そんなの嫌。


「…あんなの序の口だと思っとけ」


吐き捨てるように言い、宮瀬は階段を下りていく。


あの死体と同じ空間にいるのはごめんだ。


宮瀬を追いかけて雑居ビルを出る。


青かった空も、すっかりオレンジ色に変わっている。


宮瀬は犯行中常につけていた手袋を溝に捨てた。


「いいの?そんなところに捨てて」


「どうせ捕まるのは俺じゃないから」


…そういうもんか…。


下の下の下くらいの人が出頭させられるんだろう。


世の中なんかそういうものだ。


世の中は想像の何倍も汚い。
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