Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「だから俺は─」


「この世界に中立なんか存在しない。分かってるだろ」


……正論だ。


城田さんが言ってることはたしかに正論。


でも、宮瀬が言わんとすることもよく分かる。


あたしがこんな状況を招いたんだ…。


「…玲香。ちょっと席外せ」


あんたが無理やり連れてきたんじゃん。


普段ならそう言っていただろう。


でも今は違う。


素直に従うしかない。


険悪な二人を残し、静かにリビングを抜ける。


そのまま部屋に戻り、ベッドに潜り込む。


宮瀬は城田さんを本当の兄のように慕っていた。


あたしがその関係を壊した─。


あたしの身勝手な裏切りで、いったいどれだけのものを壊したんだろう。


「…ホント…何やってんだろ…っ」
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