Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「……ただいま、ナオ」


久しぶりにあたしとナオの家に帰ってきた。


ナオを失って初めてここに来た。


やっと来れた。


「…ナオの匂いだ」


家中にナオの香りがする。


でも…これはいつか消えてしまう。


ナオの匂いが消えるのが怖い。


この世からナオが本当に消えてしまうようで。


家は隅々まで綺麗に整理されている。


数ヶ月間誰も使ってなかったから埃を被ってるけれど、几帳面な一面もあるナオらしい家。


あたしと住んでた頃より綺麗なのがちょっと悔しいな。


「…なんで…こんなに綺麗なんだろ」


…なんとなく、その答えは分かる気がする。


分かりたくないけど…分かってしまう。
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