144本のバラの花束を君に

エリックは、「観光地にいろいろ行こう」と言ってくれた。そこには、静音が留学していた頃に一緒に行った思い出の場所もある。

庭に咲くバラを見つめながら、静音はそっと微笑んだ。



次の日、静音は紺色のトップスにストライプのスカートを履き、甘すぎず上品な服を着た。エリックの私服はいつも大人っぽく、それに合わせるためだ。

早起きをしておめかしをした静音は、キッチンに立って朝ごはんを作っている最中だ。ご飯を炊き、じゃがいもとにんじんとネギの味噌汁を作り、鱈のホイル焼きと野菜のおひたしを素早く用意する。

朝ごはんを静音が用意していると、「Good moaning（おはよう）」とエリックがリビングにやって来た。

「Good moaning！（おはよう！）Breakfast will be ready soon（朝ごはん、もうすぐできるよ）」

静音は微笑み、まだ少し眠そうなエリックに声をかける。

「朝ごはん作るの、……その……俺も手伝おうか？」

エリックが静音を見つめ、言う。特別甘いセリフではないのに、エリックの顔は真っ赤だ。それでも、エリックがそう言ってくれたことが嬉しくて、静音は微笑む。