クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
「愛菓さん、どうかしたのですか?珍しく手が止まってますよ」

「あ、いや、何でもない」

阿佐美の声かけは1度目ではない。

これで3度目になる。

「気分が悪いなら休めよ。愛菓」

白人が心配そうに、愛菓の顔を覗き込むと、ゆっくりと愛菓は横に首を振った。

「ごめん、白。ちょっと休むね」

愛菓は、洗い物をしていた手を休めると、苦笑しながら奥の事務室に入っていった。

「あんな愛菓さんは初めて。白人くん、何か知ってる?」

「いや、俺もあんな愛菓ははじめてだ」

心配そうに事務室を見つめる二人だが、今は予約のスイーツを作り上げなければならない。

心を鬼にして、2人は作業に没頭した。
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