クールな専務は凄腕パティシエールを陥落する
和生は、天才パティシエールである愛菓を手に入れるために、佐藤夫妻だけでなく、優吾や美佳の現状を利用して、彼らが自ら愛菓を解放するように仕向けたことを明かした。

和生は、毎日2週間きっかり14時に店を訪れて愛菓を口説くだけではなく、裏では、きっかりと外堀も埋めていたのだ。

「そうでしたか・・・。でも、そのお陰で、私は美佳さんの憂いを取り去り、自由な環境を手に入れた。だから和生を恨むことはありません」

「ええ、僕も手荒だったとはいえ、その事は後悔していない。ですが、ルイが愛菓の優しい気持ちを利用して、嘘を重ねて傷つけてまでヨシザキ氏を勝たせようとしたのは許せない」

愛菓を抱き締める和生腕に力がこもる。

「そのせいで、愛菓は俺から離れようとした。君を失うことになったら、俺はアイツを社会的に抹殺してやる」

和生の物騒な言葉に、愛菓はフルフルと首を振る。

「だめです。国家間の大問題に進展しますから」

「愛菓は可愛いな。それくらいの気持ちでいる、ということですよ」

和生は愛菓の唇に柔らかなキスを一つ落とす。

それは、段々と激しく深くなり、色気を帯びていった。

「この四日間、君と離れてみてよく分かった。俺は君を、愛菓を愛している」

愛菓をソファに押し倒した和生は、そのクールな顔に情熱を灯した瞳を煌めかせて愛菓に言った。

「あのウエディングスイーツを一緒に食べるのも、愛菓、君以外にはあり得ない。ずっとそばにいて欲しいんだ」

愛菓もそのクールな表情に似合わない、情熱的な微笑みで同意を返す。

「フランスのお姫様ではなく、日本のくの一を選んでくれますか?」

「俺は、くの一で、魔術師の愛菓が欲しい」

激しいキスの後、和生の手が唇が、愛菓の美しい肢体を這い回る。

「私も和生が好き。あなたが欲しい」

「全部あげるよ」

父のいう通りだ。

想像だけでは真実はわからない。

こうして言葉にして、自分の想いを伝えてこそ事実と向き合える。

愛菓は、無条件に与えられる和生からの愛に心から感謝をし、同じように愛情を返していきたいと心から思った。

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