白と黒ゲーム

私はガラスケースにくっつき、涙で薄れる視界で必死に純の目を見た。


「ごめんなざい!!ごめんなざい純!....私...私好きだったのぉ!あんたのこと好きだったのぉ!!....伝わらないよぉ!!誰かここ開けてよおおおお!!!!」


私は狂うように何度も叩く。ガラスケースに壊れてくれと訴えるように叩く。どうしようもないのは感じている、ありもしない可能性に私は身を預けるしかなかった。




"杏"




薄れる視界の中、純が口パクでそういったのを私は見逃さなかった。
私は叩くのをやめて彼の口に意識を全集中した。


「な、なに!?純ッ!」


私が必死にそう聞くのと正反対に、純はニコッと笑った。純には似合わない落ち着きを持った優しい微笑み。私は一瞬だけ時間が止まった感覚になった。




"ごめんな"




次の瞬間、視界が赤く染まる。中から赤い液体が凄い勢いでガラスを染め上げていく。いきなりのことで何が起こったのか理解ができず、頭が真っ白だった。
中から衝撃のような振動を感じた。純が暴れているのだ。


「純ッ!!いやぁぁぁぁ!!!純!!!死なないでぇぇぇぇぇ!!!誰か助けてよぉぉぉぉ!!」
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