欠けてるあなたが大好きです。

誰か来たら嫌だから、とお店に移動する。



「じゃあいつもの流れでやってくとして…。」


つづるさんが紙を見ながら話し出す。



「なにかこの1週間で変わったことはあるか?

 が最初の質問だけど、

 これは彼氏ができた、ってことで。」


こくっと頷いて言葉の続きを待つ。




「じゃあ彼氏ができた…

 フウくんと付き合うことになった原因は

 なんだと思う?」



「原因…?」


「まぁどうしてそーなったか、だね。」



つづるさんは、カフェ店長の姿でありつつも

研究者の顔だった。


真剣な表情で、

鋭い目はわたしの心の奥底まで見透かしてそう。




「わたしが諒くんに告白したから…?」


「どうして告白したの?」



「諒くんのことが好きだなって。

 わたしが諒くんに対して持ってる感情が

 恋愛感情ってわかったから。」




「…さすがだね、咲雪ちゃん。

 2回目でもう感情が出てくるかぁ。」



「えっと…?」


「この質問をあいつらにするとすごいんだよ。

 全部自分の利益不利益を根拠にした理由しか

 言わなくて、感情のはいる余地一切なし。

 まぁ時々ミユあたりは

 不快だったからとか答えるけどさ。」



「…なんとなく理解できます。」


超合理主義者っていうくらいだもん。



言動の理由に感情がくることはないだろう

ってことくらいはわたしにもわかる。




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