欠けてるあなたが大好きです。

At Sw-sw-sweet ~銀髪とピアス~


9月14日水曜日。


「さゆー!これ作るの手伝ってー!」


「ごめん!今日用事があって…。」



「がーん。

 …風越とデート?」


「いやいや。諒くんはバイトだから。」


放課後、わたしと諒くんが教室から出ようとしていると、

琉奈ちゃんに話しかけられた。




実行委員長と副実行委員長が

デートで準備をサボるってどんなクラスだよ…!


心の中でつっこみながら諒くんの隣を歩く。




「咲雪はなんの用事?」



「イブさんのとこに行くの。

 昨日つづるさんから連絡が来たんだ。」


イブさんからショウキさん、

ショウキさんからつづるさん、

つづるさんからわたしにコピペされた文章が届いたの。



ショウキさんが加筆修正したみたいだったけど。




「あの人に呼び出しされるとかオレなら行かねー。」


「諒くんイブさんのこと苦手だもんね。」



「伊達にショウキさんの幼馴染やってねーんだよ。

 サイコの扱い方がわかってるからこそ

 すっげーめんどくせー。」



「幼馴染なんだ?」


「まぁイブさんのがショウキさんより年上だけどな。」


テンション高いイブさんといつも落ち着いたショウキさん。



うーん、仲良しには思えない。



ショウキさんがイブさんをなだめる姿も想像つかないし。





「あの人、一見ふつーのチャラいあほな人なのに、

 つづるさんよりしたたかなんだよ。

 特にオレらサイコは能力があるから

 人より有利に会話ができるのに、
 
 それを逆手に取りやがる。」



「確かに世渡りうまそうではあるかな…。」



ピアスの数と銀色に光る髪はどうかと思うけど。





一緒に電車に乗って、同じ駅で降りる。


「気をつけろよ。」



「…なにに?」


「あの人がなにしでかすかなんて

 ショウキさんでも予測できねーんだよ。」



「そうなんだ?」


「じゃあな。…気をつけろよ。」


「あはは、わかった。また明日〜!」



駅を出たところで諒くんと別れて、

わたしは目的のお店に行く。



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