欠けてるあなたが大好きです。

「お菓子作り得意なの?」



わたしがドア付近のてすりに掴まれる位置に

ついたとき、諒くんが口を開く。



「大好きだよ!

 お菓子作りだけじゃなくて料理自体好き。」




「今日のマカロンめちゃうまかった。

 こんなにうまいんだったら

 もっと早く食いたかったわ。」



「ありがと〜。

 諒くん去年から助っ人してたんだもんね。

 差し入れのタイミングと合わなかったのか。」



「いちごの天使の話は聞いてたけどさ、

 おいしいっつっても

 ショウキさんには劣ると思ってたし

 興味あんまなかったからな。

 でもショウキさんと

 いい勝負になりそうなレベルでびびった。」




「ショウキさんのパスタすごかったもんなぁ…。

 わたし料理はわりと自信あったけど、

 まだまだだなって感じた。」



「いやいやショウキさん、

 専門学校で調理学んでる

 プロ志望の人だからな?

 つーかもう今年で卒業だからほぼプロだし。」



「そうなんだ。

 だからあんなにおいしいの作れるのかぁ。

 ってわたし次で降りる!」


気づいたら家の最寄り駅の

1つ前の駅についていた。




「乗り換え?」


「ううん。最寄り駅なの。」



わたしの家の最寄り駅は路線がかさなる

乗り換えの駅でもある。




駅につき、電車のドアが開く。




「じゃあな。また明日。」


「うん!またね〜。」




諒くんが見えなくなるまで手を振り続けた。






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