俺の、となりにいろ。

秀人は目を逸らす彼に、切れ長の鋭い視線を投げた。

「宇田支店長が大した人間かどうかは、お前が支店長になったら答えが出ると思うが?」

ギロリと睨まれた瞳に、男性社員は「すみません」と怯えた態度で謝ると、秀人の手は突き放すように離れていった。
反動で足元がふらついた男性社員は、傍にいた同僚に支えられて去っていった。

秀人に近づいたとき、その横顔がポツリと言った。


「俺もあの男も、人を自分のものさしで判断しているようじゃ、人間として、まだまだ未熟だよな……」

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