俺の、となりにいろ。

桐谷秀人は手続きの終えた備品のホワイトボード用マーカー三本を受け取ると、カウンターの向こう側へ歩き出す。そして「あ、そうだ」と足を止めて、振り返って手を伸ばしてくる。

「スマホ、貸して」

その華麗に流れるような動きに、つい見とれてボンヤリと彼を見ていた。
すると、少し眉を寄せて「スマホ」と急かされて、ハッと我に返る。言われるまま「はい」と、スマホを渡すと慣れた手つきで操作して、あっという間に手元に返却された。

私の中でスマホが震える。
見覚えのないアドレスから見覚えのない携帯番号のメール。

「とりあえず、アンタに対して突っ込みどころが満載だが、今は時間がない。それ、俺の番号とアドレスだから消すなよ。俺からの連絡は必ず出るように」

桐谷秀人はそう言い残して、ドアの向こうに消えた。
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