俺の、となりにいろ。

ゆっくりと寝かされ、上に覆いかぶさってきた、年下の男。


「咲は俺のもの」

そう言って、深く口づけてくる。
ゆっくり体を撫であげられる指先。
胸の膨らみを優しく触れる手のひら。
太ももの肌触りを堪能するように舐め上げていく舌。

刺激を与えられる度に出そうになる声を、必死に抑える。
耳元で囁く、甘くハスキーな声。

「咲の声、聞きたい」

そのセリフと同時に、彼は私の中へ入ってきた。
堪えられず、小さく叫んでしまう。
その声に、嬉しそうに目を細める彼。

「咲、大好き」

そのセリフと同時に、桐谷秀人は私の上で切なく眉を寄せて、ゆっくり動き出した。

苦しげな彼を愛おしく、荒波に飲まれていく快感に抗えず発する、私の「女」の声。

< 73 / 161 >

この作品をシェア

pagetop