クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
「身重の身体で走るなんて、大丈夫なのか? 気分は?」

相当心配している様子が伺える。

「子供を危険な目に遭わせてしまい申し訳ありません。お医者様にしっかり見てもらいます」

「子供もそうだが、リアナはどうなんだ?」

「私? 私は身体の方は全く問題ありませんけど」

ろくな訓練をしてこなかったが、体力は平均以上ありちょっと走ったくらいでは疲れない。この体質は間違いなく父親からの遺伝だろう。

「それならいいが、子供だけでなくリアナもしっかり診察を受けてくれ。大切な身体なんだから」

「そうですね。元気な子供を産まないといけませんから」

笑顔で答えたが、リカルドの表情がなぜだか曇る。

「リカルド様?」

「リアナがエルドラと一緒に居るのかもしれないと気付いたとき、目の前が真っ暗になった」

リカルドは額に手を置き、大きな息を吐いた。

「あの、どうして?」

「どうしてって心配だったからだ。リアナにもしものことが有れば俺は耐えられないだろう」

「私?……エルドラ王女様ではなくて?」

困惑して呟くと、小さな声をしっかり聞き留めたリカルドが、驚愕の声を上げた。

「当たり前だろう? なぜエルドラが出て来るんだ」

「え、だって……」

混乱して考えがまとまらない。リカルドの言動がエルドラ王女よりリアナが大切だと
言っているように感じるからだ。

しかし彼は先ほどから“エルドラ”と呼び捨てている。それは特別な関係の証のように思える。

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