クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
幸せの朝
半年後。

リアナのお腹はすっかり大きくなっていた。

もういつ産まれてもおかしくない。

結局王都の屋敷に戻らずにトリアで出産に望むことにした。

自然が多い環境はリアナに合っていたし、ミラのことがある。

バリーの状況を知り落ち込む彼女を慰めたかった

その間リカルドはフォルセアの都市から捕虜を助け出し、その後の処理とエルドラ王女の守護で相変わらず忙しかったが、時間を作って来てくれた。

彼はリアナを王都に戻したいようだが、それでもリアナの希望を尊重してくれている。




ある日、突然リカルドがやって来た。連絡無しの訪問に驚きリアナは大きなお腹をかかえながら出迎える。

「リカルド様、お帰りなさいませ」

いつも通り声をかけたリアナは、隣に見知らぬ青年がいるのに気付いて立ち止まった。

リアナより少し年上の青年は、彼より少し年上と思われる女性を伴っている。

ふたりの出で立ちがリカルドの友人とも思えず、リアナは戸惑い夫を見た。

「バリー・アリソンだ」

「え? 本当に? ま、まって直ぐにミラとご主人を呼ぶから」

館の者に頼み、ミラを呼びに行って貰う。

「多分直ぐに来ると思うわ」

まだどきどきする胸を押さえ言うと、バリーが柔らかく微笑んだ。

「ありがとうございます」

「ええ。あの自己紹介がまだでしたね、私は……」

「存じています。トレド前騎士団長のご令嬢でベルグラーノ団長の奥方。そして義姉の親友でもありますね」

バリーは流暢に言う。リカルドが捕虜となっていると言っていたが、彼は健康的でと
ても長く自由を奪われていたようには見えない。リアナの疑問に答えるよにリカルドが言った。

「彼は捕虜にはなっていなかった。捕まった仲間を助けようとフォルセアに潜入したが、助けることも逃げ出すことも不可能になり、フォルセア市民として生活をしていたんだ」

「では……彼女は?」

ヴぁリーの隣の女性に目を向ける。

「彼の妻だ。子供もいる」

「え?……そう。良かったミラもきっと喜ぶわ」

異国でも幸せを掴んでいたのだ。

しばらくするとミラと彼女の夫がやって来た。温かく喜びに溢れた再会は夜まで続いた。

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