クールな騎士団長はママと赤ちゃんを一途に溺愛する
（暗いことばかり考えていては駄目だわ）

悩んでばかりではお腹の子供にも良くなそうだ。

リアナは座っていたソファーからゆっくりと立ち上がった。

「ダナ、庭に行くわ」

部屋の中で鬱々と悩んでいるより、陽の光が温かな中庭でゆっくり休みたくなった。

領主館の中庭は王都の貴族の邸宅のような華美なものではなく、緑の芝が整然と敷き詰められた、すっきりと清潔感のある空間だ。

館の広間の窓から出ると、穏やかな日差しが降り注いでいる。

リアナは建物から出て直ぐのところに設えられた長椅子に座り、ほうと息を吐いた。

「やっぱり日光浴は気持ちがいいわ」

「はい。でも長居は駄目ですよ、日焼けしてしまいますから」

「分かってるわ。少ししたら部屋に戻るから」

ダナは水分補給の為の冷たいお茶をテーブルに置いてから、館の中に戻る。

と言ってもそれ程遠くにはいかないだろう。

風の音を聞きながら、日向ぼっこをしていると、サクサクと槌を踏む足音が聞こえて来た。

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