ロマンスの王子様
「さて早くお風呂に入って、眠くなるまでゲームをしようっと!

後少しでイベントが始まっちゃう!」

私はパジャマと下着を手に持つと、自室を後にした。

結婚してよかったことと言えば、それを口実に仕事を辞めることができたことと働かなくてもよかったことである。

相手は金持ちだから経済面でも生活面でも安心だし、老後も約束されたのも同然だ。

向こうは完全に私に興味がないし、私も相手に興味がないので楽しく結婚生活を謳歌している。

最終的に実家が無事ならばそれでいい訳だしね。

自室のドアを開けると、奥原さんの姿はなかった。

彼が私のことを妻だと思っていないように、私も彼のことを夫だと思っていない。

これから先の生活でも、私たちの間に恋とか愛が芽生えることは決してない。

私たちが愛しあうことも間違ってもないだろう。
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