ロマンスの王子様
と言うか、
「奥原さんは私のことが嫌いなんですよね?」

私は言った。

嫌っているのは…むしろ、奥原さんの方じゃないんですか?

「俺が嫌ってる?」

奥原さんは訳がわからないと言った様子で私を見つめた。

あれ?

私、何か変なことを言ったか?

「お見合いの時、言ったじゃないですか」

私がそう言っても、奥原さんの表情は変わらなかった。

「結婚に興味がないだのお世話になってる『小町家』を見捨てることができないから仕方なく私を妻にするとかって」

これでも、彼はまだ訳がわからないと言うのだろうか?

「そう言ったと言えばそう言ったが…」

奥原さんは呟くように言った。

やっぱり、覚えてた。

私がそう思った時、
「それがどうして、俺がお前のことを嫌ってるって言うことになるんだ?」

奥原さんは表情を変えずに、そう言った。
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