ロマンスの王子様
「えっ、奥原さん…?」

奥原さんは私から離れると、先ほどと同じように私をじっと見つめた。

「あの…」

そう声をかけた私に、
「まだ俺にも脈があるんだな…」

奥原さんはそんなことを呟いた。

「えっ?」

脈があるって、何の話ですか?

それに対して口を開こうとしたら、
「お前の気持ちはよくわかった。

話はこれで終わりだ。

風呂に入ってくる」

奥原さんは私に背中を見せると、その場から離れたのだった。

バタンと、バスルームのドアが閉まった音が聞こえた。

「えっ?」

結局のところは、何だったんだ?

奥原さんは何が言いたかったんだ?

いろいろとツッコミを入れたいところがあり過ぎて、何が何やら状態である。

とりあえず、
「私は奥原さんに嫌われていなかったと言うことだけはわかったな…」

それだけは理解ができた。
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