ロマンスの王子様
「別に悪いことをしてる訳じゃないのに、いつまでもコソコソと隠れて趣味をするのはよくないと思う。

昔ほど厳しくはなくなっている訳だし、大丈夫だって。

それにこれが学生時代だったらまだしも、お互いにいい大人な訳だし」

そう言ってワッコさんを説得していたら、カバンの中のスマートフォンが震え出した。

「ちょっとごめん」

ワッコさんに断りを入れてカバンからスマートフォンを取り出した。

奥原さんからメッセージが届いていた。

『今どこにいるんだ?』

…テーブルのうえに置き手紙を置いたはずなんだけど、何で聞かれているんだ?

“友達と遊びに行きます、遅くなります”って書いたんだけどなあ。

「アキポン、どうかした?」

画面を見て固まっている私に、ワッコさんが声をかけてきた。
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