ロマンスの王子様
「ありゃりゃ…」

奥原さんから届いたメッセージは5件である。

『何をしているんだ?』

『何で返事しないんだ』

『誰と一緒にいるんだ?』

『いつになったら帰ってくるんだ?』

『一言でもいいから返事しろ』

何じゃい、この間まで私のことに興味どころか関心すらもなかったくせに。

私は息を吐くと、指で画面をタップして奥原さんに電話をかけた。

「もしもし?」

奥原さんはすぐに電話に出た。

「いや、もしもしじゃないですから。

さっきから何なんですか、ポンポンポンポンポンポンとメッセージを送りつけてきて。

嫌がらせですか?

おかげで友達に変な気をつかわれちゃったんですけど」

うんざりとしたその気持ちをぶつけた私に、
「で、お前はどこにいるんだ?」

奥原さんが聞いてきた。

すみません、私の話を聞いてました?
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