Match maker
【頂きましょう、そうしましょう】

0が、陽気におどける。

目の前の料理にもお酒にも手を付けていなかった。

【腹が減っては、何とやら。ちょっとくらい飲んだら、お前も饒舌になったり…せんやろうけど、飲め!】

…明らかに不機嫌な田中さん。

いや、私、悪くないし。

チラリと彼の方を見ると

チラリと私の方を見た彼と目が合った。

隣の席だから…

近い。

目を逸らそうとした時、彼の左手がそっと私の右手に触れた。

私の目を伺うように…

相変わらず、への字の口。

近い、近い、近い。

捨て犬の目!!

コイツ、得意の顔面使って来やがったな。

私の弱点を……

可愛い…し…格好いい

「…ごめんなさい」

もう一度、彼がそう言った。

「何に謝ってるんですか?」

「悩ませたこと、分かってあげられなかったこと、自分本位だったこと。配慮が足りなかったこと……泣くほど嫌な思いを…させたこと」

「…はい…」

「最初から、こうすれば良かった。」

田中さんが繋いだ手に力を込めた。

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