Match maker
【食べたらどう?それで、話を続けたらどう?】

「ああ、確かに。効率は良くない」

名残惜しそうに田中さんは私の手を離し

私は代わりに箸を取った。

何だったんだ、ヤングコーンの下り。

田中さんが、私が取りやすいようにお皿を私の方へ寄せてくれた。

スイスチャードの彩りの綺麗なサラダ。

チョコレート色と黄色のミニトマト。

ハニーマスタードの鮭のソテー。

リエットには、バケットとスティック状の野菜が添えられている。

「0ちゃんの、好み、女子だね」

【やだわ、雅実ちゃん、私、ジェンダーレスだもの】

ふざける0に、笑いながら食事を楽しむ。

ワインも、とても美味しい。

横には見てる分には、申し分のないオトコ。

「ねぇ、0ちゃん。マッチング中に恋愛していいの?マッチングの相手以外と」

【基本的には自由】

「え、どういう事?何それ何それ何よ、それ。じゃあマッチングって一体何よ」

【簡単に言うとな“心は自由”なんぼ、アカンゆーても、心変わりはするもんや。…それに…マッチングしても、俺ら(0)の課した条件をクリアせーへん場合もある。それはもう、どれだけ期間を取っても。】

……分かるような、分からないような

【目的はあくまで“成婚”やない。出生率の向上。結婚はゴールやない。だから“自由”ただし、相手に報告の義務がある。それがマッチングの決まりやな】

「危ういんだな、マッチングの関係は…とても…」

「それでも…どちらかが“NO”さえださなければ…」

【そうやな。永遠にマッチング状態も有るって事やな。だけど、そうなるとどちらかが“NO”出すわな。結局…】

「じゃあ、マッチングで0を通すのを止めて自由恋愛に、切り替えたら…」

【それも、自由。…せやけど…0の条件飲んだ方が…離婚率は低い。つまり、結婚してからも上手く行く。そのへんの管理が上手いからね、俺らは】

「…うーん…」

【でも、言うとくわ。俺らのマッチング能力舐めんなよ】

「成婚率…」

【そ、マッチングした時点でだいたい上手く行く…なぜでしょうか】

「…上手くいっては、いないだろう…」

めんどくさそうに田中さんが口を開いた。

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