Match maker
「…“少なからず”俺の事は、まだ好きなの?」

彼の言葉にドキンと心臓が大きく跳ねる。

…そ、それはそうだろう。

だからこそ…こ、こうやって…

俯く私の返事を、至近距離で首を傾げて待つ。

…察しろ。

とか、この人に無理か。

顔を上げずにいると、もう少し首を傾げて覗き込まれる。

ひー…

少し顔を上げると、小さく頷いた。

ふっと、顔を緩ませて

「そっか、良かった」

彼は、繋いだ私の手にそっとキスすると

「会わずに悩むくらいなら、会って悩む方が…ずっといいね」

そう言って、その手を引き寄せる。

少し近づいた私の体を今度は右手でぐいっと引き寄せる。

「会いたかった」

軽いキス。

ほんの少し体を離すと、目の前に艶っぽい瞳。

もう一度唇重なるその時に

「…私も」

そう伝える事が出来た。

< 121 / 187 >

この作品をシェア

pagetop